お家ごはん 夏メニューまとめ

☆きゅうりともずくの酢の物

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御酢や砂糖など合わせるのも面倒だ!と言う人のための一品!

きゅうり切って、パックのもずく酢、ぶちこみ!

御酢が好きな人は足しても良し。

あとは鰹節とか適当に放り込むだけ。

紅しょうが、余ってたんで入れました。

酒のつまみになりますよー

 

☆ゴーヤーリング

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小麦粉と水と卵を溶いた中にゴーヤをぶち込み

次にパン粉につけて揚げるだけ!

マヨネーズでもケチャップでも塩でも好きな味で召し上がれ!

 

☆ゴーヤーのワタのフライ

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さっきのゴーヤの余ったワタ。

種を取り除き

さっきの余った小麦粉、水、卵溶いた奴にぶちこみ

パン粉つけて揚げる。

苦味は全くないです、ふわっふわ~の食感を楽しむ♪

 

☆おさつコロッケ

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サツマイモをチンして牛乳を3~4さじ入れてマッシュ。

ベーコンとタマネギを炒めて

まぜまぜ。

塩コショウとカレーパウダーで味を調え

あとは衣つけて揚げます。

どーせ、油を使うので

余った小麦粉など勿体無いし

ニンジンもフライにしちゃいました。

甘とうがらしは素揚げ。

胡麻油で揚げたので人参がかなり美味しくなりましたが

大量にあげるときは胡麻油すぐ焦げちゃうんでお勧めしません。

少量の時はごま油でOK!贅沢な味になりますよ☆

 

☆牛しゃぶ豆腐サラダ

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牛肉(豚でも鶏胸肉でもOK!)とタマネギをスライスして

熱湯にぶち込み!

さっと火が通ったら

ざるにあげて冷水で冷やす。

豆腐の上にのせて、ポン酢、素麺の出汁などで適当に味付け。

ちらっと塩コショウをふりかけておくとパンチが出ておすすめ!

+ゆず胡椒+胡麻油☆

とりあえずキュウリが余ってたのでトッピング

手抜き料理だけど

ゆず胡椒で上品な味になるよ。おほほ

しかもヘルシー

 

☆豆もやしとレタスのサラダ

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豆もやしとレタスを、熱湯でさっと茹でます。(あんまり茹でると食感がイマイチ!)

鰹節かけて

味はうどんの汁の素とか、ポン酢とか、お好みで!

 

☆南瓜と豆乳の冷たいスープ

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南瓜をラップしてチンして冷まします。

チンした南瓜と豆乳を合わせてミキサーにかけるだけ。

あとは塩コショウしてさらに冷蔵庫で冷やせば、もっと美味しくなるよ

しかもヘルシー

 

☆豆乳ガスパチョ

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タマネギ、トマト(トマト缶でも良いよ。安いしね)豆乳

後はセロリでもピーマンでもパセリでも生姜やニンニクなど

とりあえず冷蔵庫にある野菜

味は粉末コンソメとオリーブオイルと塩コショウ

豆乳を入れてミキサーにかけるだけ!

火を使う必要がないので暑い日はこれ一杯で栄養満点!

つまり流行りのローフードなんだけど

私にとっては、そんなことより

暑いので火を使いたくないだけ!です。

味が濃かったら豆乳を入れて薄めると味がマイルドになるよ☆

味付けなしでフルーツと豆乳でも美味しいし子供もゴクゴク飲んじゃうんじゃないかな?

 

☆ケークサレ(塩味のケーキ)

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冷蔵庫に残ったくず野菜なんとかし隊!

でも家の人や子供はなかなか野菜を食ってくれない!と言う方に

パウンドケーキ作る容量と同じ

小麦粉も無縁バター(オリーブオイルでも良いよ)も100グラムずつ

卵2個

余って困り果てた野菜

あとはチーズなどを、ぶちこみ

塩コショウで味付け

まぜまぜ~

170度くらいで40分焼いたけど。確か?

そこらへんも適当っす。

マヨネーズ入れて焼いても美味しそうね。

 

料理をアップすると

レシピを聞かれることが多いので

まとめてアップしておきました~

 

あんまり、はてぶ使ってないし

ここは、こういう自由な空間にしておこうと思います♪

 

eli

脳腫瘍の男 最終話

脳腫瘍の男 

脳腫瘍の男は慌ててホスピスのスタッフや看護師さんに彼女の行方を聞きましたが 
ホスピス側には守秘義務があり教えてくれませんでした。 

脳腫瘍の男は青ざめました。 

彼女は末期のガン患者で長い闘病と入院生活で体力はありません。 
免疫力も落ちていることを 
脳腫瘍の男も重々分かっていました。 

彼女の望みだとは言え 
街に出てバーにも行きお酒も飲み、 
増してや朝帰りだなんて無茶をさせてしまった事で彼女の容体が悪化し転院したのかも知れないと脳腫瘍の男は想像しました。 

脳腫瘍の男は酷く落ち込み別荘に帰ると 
政界のドンは直ぐに脳腫瘍の男に何かあった事に気付きました。 
『どうした? 
さっきまでフワフワ浮ついてたくせにむ 
今度はお通夜みたいな顔しやがって。 
なんだ。女とケンカでもしたのか?』 

脳腫瘍の男は泣き出し、成り行きを政界のドンに説明しました。 
『僕が彼女に無理させたに違いないです。 
僕のせいかもしれない。 
彼女は、もうホスピスにいません。 
もう二度と逢えないかも知れません』 

政界のドンは 
『バカもん! 
弱気になりよって!』と脳腫瘍の男を叱りました。 
『こんな時こそ俺の出番じゃないか』 
そう言うと直ぐにお付きの人に彼女の居場所を探すよう命令しました。 

10分もしない内にお付きの人は彼女の居場所を見つけ出しました。 
政界のドンは脳腫瘍の男に言いました 
『別の病院に移ったみたいだ。 
そんなに遠くはない。 
今直ぐ行くぞ 
メソメソするな! 
俺も一緒に行ってやる 
お前さんが振られるなら俺様が見届けてやる 
心配するな!』 

すぐさま、あの立派な黒い大きい長い車に乗り込みました。 

運転手に『急げ!』と命令すると物凄いスピードで発進しました。 

彼女が転院した病院は隣の町にありました。 
脳腫瘍の男は気が気ではありません。 
彼にとって初めて愛し合った日に彼女は転院したのですから 
あの夜のせいで嫌われたのか? 
体調が悪化したのか? 
何故、病院を移ったのか? 
心の中は不安でいっぱいでした。 

隣町の病院に着くと面会時間は過ぎていましたが 
政界のドンは海外でも力を持っています。 
難なく病院に入れました。 

脳腫瘍の男と政界のドンは彼女の病室をノックしました。 

すると中から彼女の返事が聞こえました。 
『誰?』 

政界のドンは小声で、脳腫瘍の男の耳元で『応えろよ』と言って肘で突きました。 

脳腫瘍の男は自信なそうに 
『僕です』と応えると 
彼女は自らドアを開けました。 

『良かった。 
会いたかったのよ! 
でも、貴方の連絡先も何も知らなくて。』 
彼女がそう言うと 
脳腫瘍の男に抱きつきました。 
脳腫瘍の男は彼女の容体が悪化したのか、嫌われたと思い込んでいたので 
鳩が豆鉄砲食らったような顔をしてキョトンとしていました。 

彼女は言いました。 
『ビックリするわよね。 
急にわたし、転院してしまって。 
私だってビックリしてるのよ 
だって、私元気になったんですもの』 

脳腫瘍の男も政界のドンも 
彼女の言ってる意味が分かりません。 

『どういう事? 
だって転院したし 
容体が悪化したのかと思ったから』 

彼女は言いました。 
『私にもさっぱり分からないわ。 
朝送って貰って 
ホスピスに帰ったらとっても眠くなって 
昼過ぎに起きたの。 
そしたら、すっごく目覚めが気持ちよくて 
健やかなの。 
鏡を見て顔色が良いからビックリしたわ。 
あまりにも、いつもと違うの。 
恋をしてるからかしら?って思ったわ』 
脳腫瘍の男も政界のドンも彼女の説明をポカンと聞いています。 

『精神的な事だと私も思ったわ。 
でも違うの 
本当に変わったの。 
触ってみて』 

そう言うと彼女は脳腫瘍の男の手を自分の胸に当てさせました。 

脳腫瘍の男は驚きました。 
切除したはずの胸に大きな膨らみがあるのです。 

『ね?驚いたでしょ? 
両方とも戻っているのよ 
まだ驚く事があるわ』 
彼女がそう言うと 
いつも被ってる毛糸の帽子をとりました。 
すると、どうでしょう。 
真っ黒な髪が生えてきているのです。 

彼女は続けました。 
『私の髪の色は黒じゃないわ。 
ブロンドよ。 
ホスピスでは癌検査は出来ないから、ここに転院したの 
ホスピスの前はこの病院にいたのよ 
フロリダでも癌の治療では有名な病院なの 
胸の切除もここでしたのよ。 
ドクターは私の胸を見て驚いたわ。 
髪の毛だって急に生えて来て 
しかも黒髪 
だから、もう一度再検査するの。誰より私が驚いているわ』 

この奇跡の一部始終を見ていた政界のドンは言いました。 
『これはお前さんの脳腫瘍のせいじゃないのか!? 
お前さん達セックスしたんだろ?』 

政界のドンは続けました。 
『おっとレディの前でデリカシーのない発言失礼した。 
始めまして。 
俺は彼に命を救われた者だ。 
彼の脳腫瘍のお陰で現代の医学で治せない難病が治ったんだ。 
彼の脳腫瘍はどんな難病でも治す不思議な力がある。 
確かな事は分からないが 
君たちが一つになった時 
もしかすると脳腫瘍の分泌物が脊髄を通って彼が射精したと同時に貴女の身体に入ったのかも知れない。 
これは憶測だが 
それ以外に考えられない。』 


彼女は政界のドンが言う奇跡の脳腫瘍の話をスンナリ受け止める事が出来ました。 
何故なら自分の身体で実感している事だからです。 

奇跡を実感している彼女は政界のドンの憶測を信じる事が出来るのでした。 

彼女は脳腫瘍の男に抱きつきました。 
『検査の結果は先だけど 
貴方の不思議な力は私のがん細胞を消してしまった、そう信じるわ。 
奇跡だわ。』 

その後、検査の結果が出ました。身体中に転移したがん細胞は魔法のように、すっかり消えていました。 
二人は何の疑いもなくお互いの愛を確信し結婚しました。 
しかも、お腹の中には赤ちゃんが。 
彼女の両親もこの奇跡には驚き 
まさか赤ちゃんまで授かるとは思いもしませんでしたから 
二人の結婚を祝福しました。 

脳腫瘍の男の両親もフロリダに呼び政界のドンも結婚式に出席しました。 
結婚式では政界のドンが1番大泣きしました。 

政界のドンは二人の結婚を見届け日本に帰る事にしました。 
政界のドンは今度は本当に国民のために帰るのです。 
『まだまだ、日本で遣り残した事が山のようにあるからな。 
俺は未だ引退しちゃいけないらしいな。 

今の日本は大変な時期だ。 
俺は本当の意味での改革をする。 
お前さんのお陰で目が覚めた。』 

そう言いのこし日本に帰りました。 

脳腫瘍の男と彼女 
二人の子供は無事に産まれましたが、やはり脳腫瘍がありました。 

二人は何も心配はしていません。 
この脳腫瘍は障害ではなくギフトだからです。 

2050年 
ニュースでは 
生まれつき脳腫瘍がある新生児が増えた事を問題視 
文化人や化学者や医者達は 
ストレスか環境汚染のせいにしています。 



おしまい。 

ゑ莉 

脳腫瘍の男 25話

脳腫瘍の男。25話。

朝帰りした脳腫瘍の男

別荘では政界のドンがリビングのソファに腰掛けにやにやして待っていました。

『朝帰りとはな~。
お前さんもやるな~』

脳腫瘍の男は顔から火が出そうです。
『あの、その、。』どもりながら、説明しようとすると

政界のドンは『なんだ。
真っ赤になって。
冗談でからかっただけだ。
もしや、まさか彼女と
あれか?』
立ち上がり脳腫瘍の男の顔を覗きこんで聞きました。
『お前さん、彼女とセックスしたのか?
アソコ起ったのか?』

脳腫瘍の男は政界のドンのストレートな質問をかわす事も出来ず、小さく頷きました。

政界のドンは
『やったな!
めでたい!
今日は祝いだ。
赤飯だな』と、はしゃぎ出しましたが、ふと我にかえり
『赤飯はないか。』と大笑いして恥ずかしがる脳腫瘍の男の背中を叩きました。

はしゃいだものの政界のドンの心の中は複雑でした。
脳腫瘍の男の恋した彼女は癌で、あと数カ月の命です。
政界のドンは脳腫瘍の男が悲しむ姿を見たくないのです。
それでも、これから先待ち受けてる悲しみと向き合わなければいけない。
政界のドンは、また、わざと子供のようにはしゃいで脳腫瘍の男をからかいました。

仮眠をしようにも脳腫瘍の男は全く眠れません。
夕方、居てもたってもいられず
脳腫瘍の男は彼女に会いにホスピスに行きました。

彼女の部屋に行くと、そこには誰も居ませんでした。


彼女も彼女の荷物も何もかも消えていたのです。

続く

脳腫瘍の男 24話

どっぷりと夜は暮れ

気付けば、もう0時を廻っていました。

脳腫瘍の男と彼女は店を出ました。

 

彼女は久しぶりのお酒にすっかり酔っぱらってしまいました。

 

「もう遅いから帰りましょう。体調はどうですか?」

脳腫瘍の男はホスピスまで連れて帰ることにしましたが

彼女は嫌がりました。

だだっこのようです。

 

「こんなの宵の口よ!

ここの近くに星空がきれいな場所があるの。

教えるから連れてって!」

 

お酒を飲んで少し性格が変わったようでした。

困った脳腫瘍の男は、彼女の行きたい場所に行けば納得して帰ると思い

車に乗せて、その場所に連れて行くことにしました。

 

行きの風も心地が良かったですが

帰り道も彼女は窓を開けて、ほてった頬を冷やしています。

気持ちよさそうな表情。

 

脳腫瘍の男は彼女の言う星空のきれいな場所まで連れて行きました。

公園のようでしたが

広大な敷地で一面は芝生のようでしたが

蓮華がいっぱい咲いていました。

 

彼女は、また駄々をこねました。

「車椅子なんて、もういや!

抱っこして!

抱っこして、蓮華の真ん中まで連れてって!」

 

脳腫瘍の男は困り果てながらも彼女の言うとおりにしました。

 

 

彼女は想像以上に

とても軽く

ひょいっと軽々抱き上げました。

 

彼女は笑いながら

「お姫様抱っこなんて

なんだか嬉しい!」と

はしゃいでいました。

 

公園の真ん中まで来ると

一面の蓮華が月夜に照らされ白く浮かんで見えます。

とっても幻想的です。

蓮華の絨毯に彼女を降ろしました。

 

彼女は空を指さし言いました

「ほら!見て!星がとっても綺麗よ!

ここはお気に入りの場所なの!

ああ、また来れるだなんて思いもしなかった!」

 

脳腫瘍の男も空を見上げました。

本当に星が綺麗で

流れ星もたくさん見えます。

脳腫瘍の男は思わず星空に見とれてしまいました。

 

すると彼女は突然、脳腫瘍の男にキスをしました。

 

あまりにも突然の人生初のキスに

ビックリした脳腫瘍の男。

 

「あ、、、あああ」

脳腫瘍の男の体に何か稲妻のような電気のような「何か」が走りました。

 

脳腫瘍の男の表情が強張っているので

彼女は驚いて「どうしたの」と聞きました。

 

「ぼ、ぼ、ぼく。。。キス初めてで

そ、その、あの・・・

オカシイんです!

ど、ど、どうしたんだろ?」

と脳腫瘍の男は言いました。

 

びっくりした彼女は「キス初めてなの?

え?今まで女性と付き合ったことないの?」

と質問すると

 

「ないです!

あなたが初めて好きになった人で

初めてキスした人で

えええっと

ぼ、ぼく、今、変です!」と

前かがみになりました。

 

彼女は状況を飲み込めました。

くすっと笑いました

 

「決して変じゃないわよ

健康な男性なら、そうなるわ。

でもね、私の体を見たら、そんなのすぐに治るわ」

 

そう言って

上に着ていたジャケットを脱ぎ

シャツのボタンをはずしました。

そして彼女は自分の胸を脳腫瘍の男に見せました

 

「ほら。

乳がんだったの。

切除したわ。

両方切除したのに全身に転移していたの。

醜いでしょ?

私の体はちっとも綺麗じゃない。。

切り刻まれて醜いわ。。

でも、判ってるからいいの。

ここに来れてとても嬉しいから・・」

 

彼女が言い終わる前に

脳腫瘍の男は大声で叫びました。

「あなたは美しいです

とっても美しいです!」

そして彼女を抱きしめました。

 

脳腫瘍の男にとって

生まれて初めてのキス

そして生まれて初めての勃起をしました。

 

彼女は驚きました。

そして言いました

 

「前のボーイフレンドは片方切除した胸を見て

離れて行ったのよ。

そんな、、美しいはずはないわ」

 

脳腫瘍の男は

「誰がなんと言おうと美しいです。

それに、、、僕、その。。。

は、はじめてなんです!

女の人見て勃起したのは!」と恥ずかしそうに言いました。

 

2人はそのまま

蓮華の絨毯に寝ころび抱き合っていました。

長い長いキスをしました。

 

他に誰もいない

あるのは星空だけ。

 

脳腫瘍の男が彼女の肌に触れると

不思議です。

 

触ったことのなかったピアノや

触ったことのなかったギターや

触ったことのなかった三味線を

彼は演奏できたように

彼女の体をどう奏でれば良いのか

判ってしまうのです。

 

とても自然なことのように

彼女は受け入れました。

 

何時間経ったのでしょう?

それすらも判らない

言葉すら意味がない

それくらい気持ちも身体も通じ合ったmake love

 

そして脳腫瘍の男は彼女の体の中で射精しました。

 

 

気付けば空は白んでいました

脳腫瘍の男は

彼女を車に乗せホスピスに送りました。

 

もう

すっかり朝になっていました

 

つづく

脳腫瘍の男23話

車椅子を後ろのトランクに入れ

街に繰り出した脳腫瘍の男と彼女。

 

慣れない道に慣れない外車の運転でしたが

脳腫瘍の男の心はうきうきしていました。

 

彼女は窓を開けて

久しぶりのドライブに風の心地よさを感じています。

 

郊外だけど近くの小さい町にも

ショッピングモールやカフェやレストラン、映画館いろいろ揃っています。

 

町に着くと

早速、車椅子を出して

ショッピングモールでウィンドーショッピングをしたり

アイスクリームを買って食べたり

映画を見たり

ティーンネイジャーのデートのよう。

 

彼女の顔は活き活きと輝いていました。

まるで二人のために町があるような錯覚に陥るほどでした。

 

こんなに世界はキラキラしていたでしょうか?

生きてることは当たり前ではないのです。

失うことを目の前に、ようやく気づけるのかも知れません。

 

あっという間に時間が過ぎてゆきます。

辺りはすっかり暗くなっていました。

彼女は音楽のあるラウンジで一杯呑みたいと言い出しました。

脳腫瘍の男は彼女の体力を考えると心配になりましたが

このようなチャンスが彼女には、もうないのかも知れないと思うと

連れて行きたいと思うのでした。

 

行き当たりばったりでお店に入ると

バーカウンターもあり

ピアノも置いてありました。

 

お店は賑わっていました。

お客さんは

毛糸の帽子をかぶった彼女と車椅子をチラチラ見ていました。

 

脳腫瘍の男も彼女も

その視線に気づいていましたが

車椅子をテーブルのわきに置いて

ボックス席に座りました

 

彼女はお酒を頼みました。

彼女は「ごめんなさいね。私だけ呑んで」

と言うと

脳腫瘍の男は「僕はもともとお酒が苦手なので

呑まなくても平気ですよ

それに運転もあるから

今日はお姫様のお付きで来たんですよ」

と笑顔で応えました。

 

二人は乾杯しました。

「今日はありがとう

私だって年頃ですもの

楽しみたいのよ。

でも、一人で街には来れないわ

誰かに頼むのは心苦しいの。

だから、こんな風に

昔のように

こういうお店に来てお酒が飲めるだなんて奇跡だわ!」

彼女は喜んでいましたし

脳腫瘍の男も、その言葉を聞いて嬉しかったことでしょう。

 

その時、

酔ったお客さんが

「ここ病院じゃなねーよな?気分悪い」と

脳腫瘍の男と彼女に聞こえるほど大きな声で言いました。

 

他のお客さんも聞こえたようで

賑わっていた空気も

急にシーンと静まりました。

最悪の雰囲気です。

 

さっきまで笑顔だった彼女はうつむいて黙ってしまいました。

 

脳腫瘍の男は立ち上がり

ピアノに向かって歩きました。

そしてお客さんに向かって言いました。

 

「今から僕は彼女にプロポーズします!」

 

シーンとしていたお客さんは、どよめきました。

 

「あなたに捧げます」そういうと

即興で彼女への思いを唄にし

弾き語りをしました。

 

「毎日、夢に見るあなた。

僕はずっとずっと出会う前から好きでした。

どうして、あなたを好きなのか僕にもわからない。

理由なんてない。

一生貴女のそばにいるから

誰が何と言おうと

あなたは僕にとって美しい人」

 

あまりにも素晴らしい演奏と唄に

感動したお客さんたちは立ち上がって拍手をしました。

彼女は突然の唄のプレゼントに

少し驚いて感動して泣き出しました。

 

お客さんの一人は、お店に

「今日は俺のおごりで二人に美味しい酒作ってやれ!」と言うと

他のお客さんたちも二人を祝福するように拍手しました。

店員さんも気をきかせて

ピザを持ってきました。

 

彼女は涙を拭きながら

くすっと笑って脳腫瘍の男に言いました。

「あなたって不思議な人

ありがとう」

 

脳腫瘍の男の演奏で

ばつが悪くなったのか

先ほど嫌味を言ったお客は出て行きました。

 

 

つづく

脳腫瘍の男 22話

脳腫瘍の男は、また翌日、その翌日もホスピスに行きました。

 

絵を描いたり

ホスピスにある音楽室でピアノを弾いたり

町で買ってきた安いギターを持って敷地内の芝生の上で唄ったり

パンやお菓子、彼女が好きなものを作って持って来たり

外出はできませんが

脳腫瘍の男にとっては

立派なデートなのです。

 

彼女の余命は宣告された通り半年なのか?もっと短いのか?

いや、もっと長く生き延びれるのか?

誰にも判りません。

それでも恋は恋です。

 

今回は男の脳腫瘍は奇跡を起こしませんでした。

神様は意地悪です。

ただ、脳腫瘍の男にとっては初めての青春

彼女にとっては最後の青春です。

 

彼女はいろいろ話してくれました。

ご両親のこと

友達のこと

健康だった時の趣味や付き合ってたボーイフレンドのこと

 

「わたし、本当はさびしいのよ

でも、悲しむ友達やパパやママの顔を見るのが辛いの

きっとみんなも辛いのよね。。

 

最初に癌だとわかったとき

ボーイフレンドと別れたの。

それきり恋はしないと決めてたの

だって余計に切ないでしょ」

 

彼女はホスピスに来て

彼女は悲しむ人の顔を見たくないと意地を張って

ご両親や友達との面会を拒絶していました。

「死」というのは孤独です

そんな孤独を独りで天国に持っていこうとしていたのです。

 

「それでも、不思議よ

あなたと一緒にいると辛くないの。

その理由は判らないけれど・・・」

 

脳腫瘍の男は言いました。

「好きになるのに理由なんているのかな?」

 

少しずつ

二人の心の距離は縮まっていきました。

 

近くなればなるほど

脳腫瘍の男は苦しみました。

 

「ああ、ぼくの脳腫瘍、、どうして大きくならないんだろう?

この苦しみは僕にとってストレスじゃないのだろうか?」

 

彼女に会ったあと

ベッドに横になると

切なくて堪りません。

 

ある日、またホスピスに行くと

彼女は具合が悪いのか

いつも美味しいと言ってくれるお菓子やパンにも手を出しません。

ベッドから起き上がれないようでした。

 

少しずつ弱っていく彼女を見つめながら

脳腫瘍の男は泣き出しました。

「信じてもらえないだろうけど

僕には子供のころから脳腫瘍があって

僕の脳腫瘍はどんな病気でも治すんだよ。」

と彼女に言いました。

 

彼女は

「また冗談言って。

あなたって本当に私を笑わせる人だわ」

クスっと笑って言いました。

 

脳腫瘍の男は別荘に帰ると

政界のドンに泣きながらお願いをしました。

「僕の命が危なくてもいい。

死んでもいいから

僕の脳腫瘍を彼女に注入してあげてください!

あの病院の医者ならできるはずですから!」

 

政界のドンはこれには参ってしまいました。

惚れた女の命を助けたい

そう思うのは、どの男も一緒です。

ですが、こればかりは政界のドンは首を縦に振れません。

政界のドンにとって

脳腫瘍の男は本当の友達だからです。

 

翌日、ホスピスに行き

ドクターにも看護師にも懇願しました。

「僕の脳腫瘍はどんな病気でも治すんです!

誰か外科医はいませんか!

僕の脳腫瘍を彼女に!!!お願いします!!!」

 

取り乱す脳腫瘍の男を

警備員が連れ出しました。

 

一体全体、彼の言うことを誰が信じるでしょう。

第一、ホスピスには外科医などいません。

 

ホスピス側は脳腫瘍の男を危険と感じ

面会を禁じました。

 

出入り禁止になってしまった脳腫瘍の男は

それでも毎日、毎日、ホスピスの前に行きました。

 

「あの人の顔を見れるだけでもいいから・・」

毎日毎日、通いました。

 

雨の日も風の日も

夢に見たあの建物の前に立っていました。

 

そんなある日

彼女が窓から、こちらを見ていました。

「ちょっと待ってて」と身振り手振りで合図を送ってきました。

 

起き上がるのも辛いだろう

彼女はヘルパーさんに頼んで

車椅子で彼のところまで降りてきました。

 

脳腫瘍の男は喜びましたが

同時に心配もしました。

 

「こんなことして大丈夫ですか?」

脳腫瘍の男が聞くと

彼女は舌をペロっと出し

「大丈夫よ

ヘルパーさんには口止めしたし、買収しちゃった!」

と悪戯っ子のような笑顔で応えました。

 

脳腫瘍の男は取り乱したことを彼女に謝罪しました。

 

彼女は怒ってなどいませんでした。

「信じられる話ではないけど

でも、それほど私を助けたいのだから。。

ねぇ、その話はもういいわ。

今日は外でデートしましょうよ

あと、どれくらい生きられるか判らないけど

貴重な毎日よ!

そう思わない?」

 

 

脳腫瘍の男は急いで政界のドンに電話をして

車を用意させました。

 

政界のドンは脳腫瘍の男の頼みごとに大喜び。

ここのところ、ずっと元気がなかった脳腫瘍の男がj久しぶりに明るい声をしている。

政界のドンはうきうきして、また、あの立派な黒い長い車に乗り込もうとしましたが

「待てよ??俺がついていったらデートにならねぇよな・・・」

少し考えてから

別の車を用意しました。

 

電話口で

「適当な車を用意してやるから。

お前さんが好きなとこ連れてってやれ。」

そう言って

おつきの人にホスピスの前まで車を持ってこさせました。

 

いつもの立派な黒く長い車ではありませんでしたが

高級車です。

 

彼女はビックリしました

「あなたのお友達ってお金持ちね」

と言うと

 

脳腫瘍の男は言いました。

「僕、車の運転、自信がないけど

行きたいところがあったら言ってください」

 

彼女は「そうねー

くさくさしてたから町に行きたいわ。

これでも昔はお酒強かったのよ

田舎町でも音楽とお酒があるお店はあるのよ!」

と、はしゃいでいました。

 

初めての院外デートです。

 

つづく

脳腫瘍の男21話

脳腫瘍の男は

今日も彼女のいるホスピスに行きました。

2階の彼女の部屋をノックすると彼女が返事をしました。

「だれ?」

 

「あの。。昨日の。。」

脳腫瘍の男は緊張と喜びのあまり

声が上ずっていましたが

彼女は声ですぐに誰だか気づきました。

 

「入ってきていいわよ」

彼女が応えました

 

脳腫瘍の男は

「昨日は急にすみませんでした。

僕、自己紹介もしていなかったし。

昨日、ここから街に出て食材を買ったので

今日はお詫びにパンを焼いて持ってきました。

一緒に食べませんか?

カフェオレも水筒に入れてきました」

そう言って、彼女の前に差し出しました。

 

彼女は「まぁ、美味しそう。

日本人もパンを焼くのね。

ひとついただくわ」

そう言って、焼き立てのパンを一口食べました。

「美味しい!」

 

脳腫瘍の男は喜びました。

 

彼女は「私をからかってるのは判るけど

美味しいから許すわ」と言いました。

 

脳腫瘍の男は、

ビックリして言いました

「からかっていません!からかってるも何も本気です

僕はあなたが好きなんです」

 

 

彼女は冷たく言い返しました。

「ここがホスピスだって知ってるんでしょう?

どういう人がここに来るのか知ってるんでしょう?

余命半年よ。

生きることをあきらめた人が来る場所よ。

好きだの何だの。誰が信じるもんですか。

私は暇だったから相手をしたのよ」

 

 

脳腫瘍の男は

「僕は本当にあなたが好きなんです。

直ぐに信じてもらえないと百も承知です。

夢に出てきたなんて普通は信じてもらえるはずがないんですから。

いいんです。

僕があなたのおしゃべりの相手でもなんでもします。」

笑顔で応えました。

 

 

彼女が冷たく言って

脳腫瘍の男を追い返そうとしたのも無理もありません。

 

本気でも、からかわれてるとしても

どちらにせよ

彼女には先がないからです。

 

それでも、ここに来て毎日、誰とも逢わずに孤独でいるのは

死ぬより辛い事でした。

 

それで、目と目があった脳腫瘍の男に

つい声をかけてしまったのです。

 

脳腫瘍の男は冴えない男です。

彼の言ってることもすぐに信用は出来ませんでしたが

嘘をついてるようにも思えません。

彼女は彼といると

不思議と優しい気持ちに包まれるのでした。

同時に優しい気持ちに包まれることを恐れてもいました。

 

脳腫瘍の男は

「はい。カフェオレです。

一緒に飲みましょう。」

そう言って水筒をあけ持ってきたマグカップに注ぎました。

 

彼女は一口飲むと落ち着いたのか

自分の話をし始めました。

「わたしね、もう先がないのよ

長く生きられないの

ここ数年、ずっと癌と闘ったわ

手術、再発、手術、再発、でも全身に転移してしまって・・

どうすることもできないの

もう癌と闘うのは疲れたわ

それで、ここに来たの。

せめて空気のきれいなところでゆっくり過ごそうと思って。」

 

脳腫瘍の男は黙って聞いていました。

 

彼女はベッドのわきにある手鏡を出して

覗きこみました。

「癌の治療で髪の毛も抜けてしまって

鏡を見てると、とっても悲しいの

死ぬ前くらい神様は髪の毛を戻してくれるといいのに

ケチよね。

今はこんなだけど

病気する前は、これでももててたのよ」

彼女はそう言って微笑んで見せたけど

その笑顔は少し歪んでいました。

 

彼女は若く、病気でなければ活発で明るい女性でしょう。

 

彼女はつづけました。

「ここでは、みんな同じように死を待ってるの。

気持ちを共有できるけど

時々、息がつまりそう。

昨日の今日であなたに、こんな話をしてるのはおかしいわね

ごめんなさいね。

愚痴をこぼしてしまったわ」

 

脳腫瘍の男は言いました。

「そんな!

僕だってオカシイですよ。

昨日の今日で

あなたを好きだ!なんて言ってるんだから

僕の方がよっぽどオカシイですよ」

 

彼女は「ほんとうね!」と笑いました。

脳腫瘍の男も微笑みました。

 

「明日も、また来ます。

欲しいものがあったら言ってください。

僕、なんでも持ってきますよ。」

そう言って脳腫瘍の男は

帰りました。

 

 

別荘に帰ると

政界のドンはやけ酒を飲んで荒れていました。

脳腫瘍の男は

「こんなに飲んじゃったんですか!」と

空けたビンの数に驚いていました。

 

政界のドンは

「くっそーーーー!」

空のビンを一本二本と立て続けに壁に投げつけました。

壁にかかってあったせっかくの自慢の絵画も台無し

有名な芸術家の作品であろう彫刻も壊れました。

 

脳腫瘍の男は何が政界のドンに起こったのか想像もできませんでした。

 

政界のドンは今日の一部始終を脳腫瘍の男に説明しました

 

「今日、お前さんの前の病院に電話したんだ。

そしたら出来ないんだとさ!

お前の脳腫瘍で彼女を助けることが!」

 

政界のドンはまた一杯ぐびっと飲んで続けました。

 

「お前さんの脳腫瘍はストレスがたまると肥大して分泌物が出る。

その分泌物が俺のエイズを直し

マウスの実験では癌でもどんな難病でも治してしまった。

 

だけど

お前さんは、ある日、突然、長い眠りに入った頃から

脳腫瘍も肥大せず分泌物も出なくなったよな。

 

考えられる方法は腫瘍を切り取って彼女に注入すれば治るかもしれないが

だけども、そんなことをすればお前さんの命が危ない

お前さんの腫瘍は難しい場所にあるんだってな。

俺はお前さんに死んでもらいたくない。

でも、それじゃ彼女は助からない」

 

脳腫瘍の男もショックでした。

 

彼の腫瘍で彼女を助けられる

そう思っていたからです。

 

「僕はなんて役立たずなんだ!

この腫瘍は何のためにあるんだ?」

 

泣き叫びました。

 

脳腫瘍の男は、

生まれて初めて自分を憎みました。

 

彼は初めて人に恋をして

初めて自分を憎み

今までに感じたことのない感情が

彼を支配しました。

 

 

「僕の腫瘍、大きくなってよ!!」

自分の頭を何度も壁に叩きつけ叫びました。

 

政界のドンは

初めて感情的になる脳腫瘍の男の背中を抱きかかえ

止めました

「この苦しさが恋なんだぞ。

いいか!

俺も今日は荒れてしまったけど

きっと、あの女は、もっと苦しい事と向き合ってるんだ

俺たち二人とも、こんなんじゃダメじゃないか!」

 

脳腫瘍の男は、はっと我に返りました。

 

そうです。

今1番辛いのは彼女です。

 

脳腫瘍の男は

彼女を本当に愛しているのです。

 

夢であった時よりも

昨日よりも

もっともっと愛しているのです。

 

あと、どれくらい彼女は生きられるのか誰も判りません。

それでも最後まで彼女と一緒にいたい

脳腫瘍の男は腹をくくりました。

 

命を左右できるなんて

おこがましい事だ

そのことに気づいたのでした。

 

つづく